僕は中学二年生。
普通に友達がいて、学力は上のほう、スポーツはキライだけど、苦手ではない。毎日が、まったく平和だ。
つまらない と思うときも多々あるが、どっかの戦争をしてる国に比べれば・・・。と思い、心で納得していた。
しかし、それは二ヶ月前までのことだ。今は違う。戦争の苦しみにも、飢えにもなってない。あの法案が可決さ
れるまでは。
それは、あるミュージシャンの一言で始まった。
「オレは今怒ってる。人気があり、世界にも通用する知名度だ。しかし、それは闇をも一緒にうんだ。掲示板サイ
トで、自分の音楽がデータとしてアップされている。これのせいで、俺の収入は少なくなってるだろう。」
こんなことを僕は町を歩いてるときに、偶然聞いた。その歌手のことはまだ知らなかった。しかし、今ではこの国
を一新させる人物となった。
-皆倉 総理大臣
こいつは、日本国内のすべてのものに、著作権を与えたのだ。犬の、鳴き声も。友達の独特な言い回しも。
お笑い芸人のネタ。そんなものすべてに著作権がある。
もうこのクラスは、生徒が三十人中十八人になってしまった。
ネットでの違法ダウンロード。関西弁などの方言の使用。ネタ、鳴き声、しゃべり方・・・。それらを、無断使用し
た場合、VI関係者が少年院に連れて行く。そしてそこでは、言葉や音を全く聞かせてもらえない。聞けるのは自
分の声。あとは全て筆談のみ。
そして、二週間その状態を耐えることができたら、面接を受けさせられる。-自己紹介だ。
ただし、独特なイントネーションで話さないといけない。コンピューターに登録されてる「こえ」と、面接を受けた人
間の話し方が類似したら、もうどうなるかわからない。
しかし、その類似したものが自分のものに間違いないと言い切り、それが本当であれば、その人間に
著作権がかけられ、その人間の話す言葉は自由になる。
基本的にはそういう趣旨のものだ。-つまり音楽や人権以外にも、全てに権利があるということが満場一致で、
可決された。
騒動にもなった。が、インターネットをみても著作権を侵害するものは何一つない。VI関係者がそれらに位置づ
けされる、違法ブログやホームページをサーバーごと消したのである。
-暇だ。テレビはニュースのみ。バラエティー番組もお笑い、アニメ その全てに一つの原点であるものが
存在する という理由で。
町は街は全く活気がない。人も殆どいない。車は廃止。自転車もバイクも。あるのはVI関係者が独自で開発し
た、乗り物だ。それから僕らを監視している。
そんな光景を見れたり感じたりしたのは、一ヶ月前までの話し。
今僕は、少年院にいるのだ。自己紹介というチャンスがあった。しかし、あえて落ちたのだ。落ちたのだ。
そしたら、やはり前と同じ状態だった。同じ状態のまま、何もなく。
そして、皆倉は日本全体に宣言した。
「私がいまここに生きていることは、人間の著作権を侵害しました。私以外にも全ての人間が、侵害しました。
私は・・・私は、死にます。生きてること自体は、刑務所にはいっったところで、何も変わりません。しゃべらなく
ても、目を閉じてても、私は生きてます。侵害をしています。」
パン!皆倉はカメラマンを射殺し、自分の額に拳銃を当てた。
パン!!パパパン!
皆倉は周りの物を全て打ち壊した。泣きながら。そして失神した。
えっ?今銃声が?僕は一畳程度の狭いへやの小窓から、廊下が血まみれになっているのをみてしまった。
そして、僕の担当の人が血がついた手で鍵をつかい扉を開けた。
「生きたいよな!せ・・・めて、お前は生きろ・・・。この鍵で、みん・・・ながいる部屋を・・・開けろ。お前に
は・・・・・・独創性が・・・ある。生きてこの国をまもれ。」
そのまま僕に寄りかかって。死んだ。
外に出ると、爆弾でも落ちたように何もなかった。
そしてみんなが使用してる時間の著作権の侵害-それをなくすために、万物を、止めた。
僕も。みんなも。この国も。同じ地球に住んでるので、みんなが侵害した。宇宙の持ち物-地球を侵害した。
地球は-。そして宇宙は。全てがひとつで終わった。
- 2009/12/24(木) 22:00:27|
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